必要な条件は?不動産融資の審査基準を解説

融資を借りて不動産投資を考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、融資額がどの程度まで受けられるのか不安だという人も多いはずです。そこで、今回は金融機関における審査基準について解説していきます。
これから不動産投資を考えている方は参考になさってください。

不動産投資の融資審査基準・3つのポイント

①属性(年収、保有する資産)

金融機関から融資を受ける場合に重要視されるのは融資を受ける人の属性です。属性とは、年収や保有する資産といった、社会的な立場や経済的な背景などで融資額が決定されます。

金融機関によって規定はさまざまですが、勤め先に関しては、一部上場企業、中小企業、自営業といった属性をランク付けしていることが多いようです。有名企業や一部上場企業の場合は属性が高いので、有利な条件で融資が受けられることになります。

勤続年数なども属性を決める大きな判断材料の一つです。長年、安定して勤務している人ほど属性が高いと判断されます。一方で転職の多い人は、安定した経済状況ではないと判断され、属性も低く評価されがちです。

業務内容によっても属性の判断が変わってきます。同じ企業でも危険な業務に従事している場合は属性が低く評価され審査に不利です。

②物件の積算評価

上記では、不動産融資の審査基準に属性があることを述べましたが、2つ目のポイントとして物件の積算評価があります。積算評価とは物件の「担保価値」のことです。もしも債務不履行に陥って物件を担保として差し押さえた場合、どのくらいの価値になるのか評価されます。

計算式は

積算評価=土地の評価額+建物の評価額

となります。

土地の評価額は、路線価に広さをかければ割り出せます。

建物の評価額を割り出す計算式は

建物の延べ床面積×再調達価格×(残存年数/法定耐用年数)

となります。

なお、再調達価格とは、新築した場合の1㎡あたりにかかる費用です。

③物件の収益評価(収益還元法)

物件の収益評価とは、物件がこれから将来どのくらいの収益を生み出すかを評価するものです。主な計算方法は収益還元法によって割り出されます。収益還元法には2つの計算方法があり、1つ目は直接還元法で、2つ目がDCF法です。

・直接還元法の計算式

年間の純収益÷還元利回り=不動産価格(収益還元価格)

・DCF法の計算式

DCF法は、今の物件の価値は数年後には変化しているということを前提にして計算します。

V=a/(1+r)+a(1+r)^2…+a/(1+r)^+Vn(1+r)^
V:収益価格、a:初年度純収益、r:割引率、n:保有期間、Vn:不動産売却価格

難しそうな計算式ですが

収益価格=毎期の純収益の現在価値の合計+復帰価格の現在価値

を表しています。

不動産投資の融資にはアパートローンとプロパーローンがある

アパートローンとは

アパートローンは、物件の収益性よりも、融資を受ける人の属性(資産や返済能力・サラリーマンなので安定した収入がある)に重点をおいて審査する融資です。そのため、一般的には年収の10倍程度までの融資枠が設けられています。

相場としては、年収500万円の場合でしたら5000万円まで、年収600万円の人でしたら、6000万円まで融資が受けられるということです。

プロパーローンとは

プロパーローンは、融資を受ける人の資産や返済能力よりも、物件の収益性や資産価値に重点を置いて審査します。したがって、収益性の大きい物件を見つけて事業計画書を金融機関に提出して認められた場合は、融資額を増やすことが可能です。

サラリーマンのような安定した職業でない人の場合は、プロパーローンがいいでしょう。これから収益が出そうな物件を見つけて、事業計画書を作成することで、アパートローンよりも有利な融資が受けられる可能性があります。

事業計画書を作成する場合は、上記で解説した物件の収益評価(収益還元法)で詳しく説明して収益が上がることを理解してもらうように工夫してください。

まとめ

今回は、不動産の審査基準について解説してきました。融資を受ける人の属性や物件の価値、物件の収益性など、さまざまな要素が融資額を決める判断材料になるようです。安定したサラリーマンの方は、年収の10倍くらいまで融資が受けられるアパートローンが良いでしょう。不動産投資をする以上、収益性を考えて行うと思うので、収益性に自信があるならプロパーローンの融資を受けるという選択肢もあります。