最近よく聞く「家賃保証」というのはどういうシステムなのでしょうか。今回はアパート経営における「家賃保証」とは何なのか、どんなトラブル事例があるのか、注意すべき点などをわかりやすく解説していきます。
家賃保証ってどういう仕組み?
アパート経営をサポートする賃貸管理業務には「一般管理業務」と「一括借上げをして家賃保証をする管理業務」の2つがあります。いずれもアパート経営の管理業務ですが、空室時の家賃保証が付いているか付いていないかの違いです。アパート経営で最もリスクになるのが空室率。空室のリスクを補うために家賃保証があります。
家賃保証の仕組みを簡単に説明すると、家賃保証会社がオーナーから部屋を借り受けて、一般の入居者へ「また貸」する転貸という形態です。アパートのオーナーにしてみれば慣れないアパート管理をプロに委託し、家賃の回収から管理まですべて任せられるので大幅な業務の削減になります。また家賃保証がついているので、家賃収入は多少目減りしますが空室の心配がいりません。
一方管理会社は、土地の購入やアパートの建設といった費用の削減ができ、
管理するアパート収入から10%~20%の手数料が得られます。
お互いにギブアンドテイクで良いことづくめのようなシステムですが、近年、家賃保証によるトラブルが増加しています。
いったいなぜなのでしょうか。
家賃保証でよくあるトラブル
「20年一括借り上げ」というコピーをよく目にしますが、20年間同額の賃料が保証されるわけではありません。一般的には2年に一回のペースで保証賃料の見直しが行われ、保証賃料が減額されていきます。
以下では近年多発しているトラブル事例をピックアップしてみましょう。
【トラブル事例①】20年一括借り上げのからくり
契約するときに「20年一括借り上げ」を強調して、2年に一度のペースで賃料の見直しを行うという説明をしっかり行わずに契約するケースが増加しています。オーナーは「20年間安泰だと思っていたのに、2年に一度のペースで賃料が値下がりするなんて聞いてないぞ!」となります。契約するときには契約書の内容をよく確認することが重要です。
【トラブル事例②】契約期間中の一方的な解約
「かぼちゃの馬車」事件がニュースで話題になりました。サブリース賃料の支払いを完全停止問題。そこまでひどい事例は少ないにしても、先ほどのような「そんな話聞いてないぞ!」と声をあらげるオーナーに対して、一方的に解約を申し出る不動産会社が増加しているようです。この場合、契約内容をしっかり確認しなかったオーナー側の落ち度ということになります。契約打ち切りの後、オーナーがアパートを見に行ってみると「もぬけの殻」だったという事例も少なくありません。
【トラブル事例③】家賃保証までに時間がかかり過ぎる
家賃保証が付いているといっても、すぐに保証してもらえるわけではありません。契約してから1カ月~3か月程は免責によって家賃の振り込みが行われないケースがあります。また、最初の入居者が入るまで家賃保証されないという免責次項が契約に入っているケースもあるので注意が必要です。
【トラブル事例④】修繕費はオーナーが負担
アパートは時間経過とともに内部も外部も経年劣化して傷んできます。定期的なメンテナンスや大修繕が欠かせません。家賃保証会社はメンテナンス会社へ修繕を依頼し、物件のオーナーにその費用の請求がまわってきます。中には家賃保証会社内にメンテナンス部門があり、法外なメンテナンス費用を請求する悪質な事例もあります。信用できる家賃保証会社と契約することが重要です。
【トラブル事例⑤】家賃情報がオーナーに伝わらない
家賃保証の契約条項で「オーナーは家賃に関知しない」という内容になっているケースが見受けられます。この場合は根拠のないまま家賃保証額を下げられても仕方ありません。家賃保証会社と契約するときには、家賃情報を教えてもらえるか確認するようにしてください。契約条項に「オーナーは家賃に関知しない」という項目があれば削除してもらいましょう。
まとめ
今回はアパート経営でよくある家賃保証をめぐるトラブルをとりあげました。賃貸管理業務には一般管理業務と家賃保証があります。家賃保証は安心な反面、トラブルになる事例が近年増加傾向です。
家賃保証のない一般管理業務か良いのか、一括借上げをして家賃保証をする管理業務を選ぶのか。これからアパート経営を検討しておられる方は、双方のメリットとデメリットを見比べて慎重に検討するようにしましょう。