所得控除についてはみなさんも確定申告や年末調整などで耳にしていることでしょう。
アパート経営において所得控除は必要経費と並ぶ大きな節税効果が期待できる項目です。節税対策のためには小さい項目も漏らさず申告する必要があります。今回は所得控除とは何なのか、所得控除の内容について解説していきます。
所得控除って何?
収入額と所得額には違いがあるのをご存知でしょうか。収入額というのはアパート経営における家賃収入などを指します。
所得額というのは収入額から必要経費を差し引いたものです。
さらに所得額から所得控除を差し引いたものが課税所得となります。課税所得に税率をかけたものが所得税です。
所得税は住民税や健康保険料を算定する基準になります。
所得控除として差し引ける項目には、生命保険のかけ金や医療費、配偶者控除など14種類があります。
確定申告書の左側、上から3つ目の「所得から差し引かれる金額」が所得控除の記入欄です。
所得控除の節税効果は大きい
所得控除はまるまる所得から差し引くことができるので、アパート経営において必要経費と同じくらい節税効果があります。
所得額から所得控除を差し引いたものが課税所得です。つまりこの部分に税率をかけた額が所得税になります。
所得税から住民税や健康保険料が算定されるため、できるだけ課税所得を低く抑えることが節税対策につながります。
例えば、所得税率を5%と仮定した場合、住民税の約10%とあわせて15%の税額になります。所得控除が100万円あった場合、100万円×15%=15万円の節税が可能になるわけです。所得税は累進課税制度になっているので、所得税率が高くなればなるほど節税効果も大きくなります。
代表的な所得控除「医療費控除」
所得控除の中でも大きなウェイトを占めているのが医療費控除です。年間で10万円(上限は200万円)を超した分は医療費控除として計上できます。また、所得が200万円以下の人は総所得の5%を超える部分が控除可能です。例えば100万円の年収だった場合はその5%の5万円を超えた分が医療費として控除できる仕組みです。医療費は本人だけでなく家族全員の分が合計されます。病院までの交通費なども医療費に含まれます。
病院にかかって保険金がおりた場合は、保険金の額を差し引いた金額が医療費です。例えば15万円の医療費がかかったけれども、保険金が6万円おりた場合は差引9万円となるので医療費控除の対象になりません。
家族に高齢者がいる場合は医療費が10万円を超すケースが多くなります。よく間違えられるのは検査にかかる費用です。インフルエンザの予防接種や人間ドック、定期健診、美容目的の診療費などは医療費控除から除外されます。
代表的な所得控除「配偶者控除」
配偶者控除には、配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)、青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、などの条件があります。条件にあっていて配偶者の年齢が70歳未満の場合で38万円、70歳以上の場合で48万円が所得額から控除可能です。
また2018年の税制改革では、納税者本人の所得によって控除額が以下の通り変化することになりました。
納税者本人の所得900万円以下
配偶者の年齢が70歳未満の場合は38万円/70歳以上の場合は48万円
納税者本人の所得900万円超950万円以下
配偶者の年齢が70歳未満の場合は26万円/70歳以上の場合は32万円
納税者本人の所得950万円超1000万円以下
配偶者の年齢が70歳未満の場合は13万円/70歳以上の場合は16万円
まとめ
今回は節税対策に有効な所得控除について解説してきました。アパート経営における節税対策で所得控除は必要経費と同じくらいのウェイトを占めています。代表的な所得控除には医療費控除と配偶者控除があります。ほかにも地震保険料控除や生命保険料控除、雑損控除(災害や盗難にあった場合に適用される)などがあります。こまめにチェックして所得から控除できるものは申告して節税対策に活かしましょう。
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