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増税前に確認を!消費税増税が不動産投資に与える影響

いよいよ今年の10月から消費税が8%から10%に引き上げられます。消費税の増税にともなってさまざまな業界でリスクに備える対策が進められているようです。特に大きな金額が動く不動産業界では消費増税を深刻な問題として受け止めて対策が進められています。はたして消費税増税は不動産投資にどのような影響を与えるのでしょうか。

消費増税で不動産業界のどの項目が変わるの?

マンションなどの不動産運営にかかわる諸経費のほとんどに消費税が課せられています。つまり、マンション経営のほとんどの項目で消費税が増税されるわけです。物件購入の際の建物価格も、管理費も、建築費も、メンテナンス費も、それらにかかる人件費も、使用する材料費も2%の増税となります。

ただし、家賃にはそもそも消費税がかかっていないので、消費増税の対象外です。物件のオーナー側にとっては、家賃から得られる収益はそのままで、マンション経営に関わる諸経費だけが増税されるということになります。わずか2%の増税といっても、ほとんどすべての項目が2%ずつ値上がりするのですから、物件運営に大きな影響を与えかねません。

【消費税が2%上がるランニングコストの項目】

8%から10%に増税されるマンション経営に関わるランニングコストは以下の項目です。

  • 物件の管理費
  • マンションやアパートの維持管理費
  • 電気や水道などの光熱費
  • 修繕やリフォームの費用
  • 共有部分の設備費
  • 定期的に行う大規模修繕
  • 物件の建物価格(中古物件の個人間の売買については消費税なし)
  • 土地の造成・整地費用
  • 売買手数料
  • 金融機関に支払うローン融資手数料

増税前の駆け込み需要

10月の消費税10%への増税を前に当然のことながら駆け込み需要が増加するはずです。特にマンションのような投資額の大きな不動産の場合、わずか2%とはいえ上がる前と後では大きな開きがあります。

2014年の消費増税の際には、駆け込み需要をねらった不動産物件の供給過多が生じ、物件の相場価格が値下がりするという現象が起きました。今回の消費増税でも同じ現象が起きるのではないかと危惧されています。

ただし、前回の消費増税時はゆるい経過措置が設定されていましたが、今回は売買契約のタイミングとは関係なく、引き渡した日付が10月に入っていれば10%、9月内であれば8%とはっきりしています。

そのため、前回ほどの駆け込み需要の増加はないだろうというのが大方の予想です。物件価格の全体的な相場が大幅に下落することはないでしょう。

不動産投資するのは消費増税後の方が良い?

消費税10%への値上がりは、不動産物件のランニングコストを大幅に上昇させてしまうので、マンション経営は今よりも難しくなるはずです。消費増税前に物件を購入した人も後に購入した人にもランニングコストは変わりません。

物件の建物価格の消費税も8%から10%になります。その分、消費増税後に購入した人は損をしていることになるでしょう。しかし、長い目で見ると、それほどの大差はありません。むしろ、消費増税後の方が物件価格が下がり安く購入できるかもしれません。

また、不動産経営の大きなポイントとなるローン金利が影響する物件の利回りも増税後には変化する可能性があります。金融機関の利息が引き下げられるかもしれませんし、融資条件が緩和される可能性もあるでしょう。さらに増税後には地価動向が変化するかもしれません。

つまり、消費税が上がる前にあわてて駆け込む必要はないということです。マンション経営やアパート経営といった不動産投資は、長く安定した経営が最も重要で、毎月こまめに入ってくる家賃収入が収益であるということを忘れてはいけません。

まとめ

前回の2014年の消費増税の際には、経過措置が設けられていたので、増税前の駆け込み需要が増加し、結果的に物件相場を引き下げる要因になりました。しかし、今回は極めて限定的な経過措置しか設けられていないので、物件価格にさほどの変化は見られないと予想されています。消費増税のタイミングにまどわされることなく、収益の出そうな物件をしっかり見きわめることが大切です。