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日本政策金融公庫からアパートローンを融資してもらうメリットとデメリット

アパートローンを借りるのに日本政策金融公庫を利用するのもひとつの手段です。アパートの収益性を重視した融資であるため、年収が低い女性や若い男性の方におすすめです。その代わり、ある程度の頭金が必要である点には注意が必要となります。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は政府系の銀行なので、民間の金融機関とは異なります。民間の金融機関では融資をしにくいような、与信が低い人に優先的に貸し出しをしています。

具体的には女性と、29歳以下あるいは55歳以上の男性に有利な形で貸し出しをします。

日本政策金融公庫でのアパートローンの概要

融資の概要

金利は基準金利が1.56%から2.65%、融資期間は10年から最長20年です。担保も保証人も不要となります。融資限度額は4,800万円、ただし女性と29歳以下あるいは55歳以上の男性であれば7,200万円まで借りることが可能です。

融資期間について

通常の銀行などは、アパートローンの融資期間は法定耐用年数に応じて定めています。法定耐用年数とは、アパート経営を行う際に必要な確定申告で経費計上する、減価償却で用いる建物の耐用年数です。

建物の設備に対しては、法定耐用年数は15年と決まっています。これは新築から15年が経過すると、設備の価値はゼロになるという意味です。同様に建物本体の躯体についても、その構造によって法定耐用年数が決まっています。

たとえば木造の場合には22年、RC造であれば47年となり、それだけ劣化のスピードが異なり価値がゼロになるまでの期間が違うことを意味します。

そして中古でアパートを購入した場合には、法定耐用年数の残数も築年数によって変わります。銀行のアパートローンは、その残存耐用年数を最大融資期間としているのです。

一方で日本政策金融公庫の場合、残存耐用年数にかかわらず融資期間を定めています。たとえ残りが30年あるRC造のアパートでも、最大融資期間は20年です。逆に築年数が22年を超える木造アパートなら通常の銀行では融資がおりませんが、日本政策金融公庫であれば評価額によっては融資がおります。

融資の審査

日本政策金融公庫は与信(年収や勤続年数など)が低い人に対して積極的に融資をしています。ただし融資の審査が緩いわけではありません。

まず融資申し込みの際に提出する書類が多いので、一般の銀行と比べると手続きが面倒といえます。これは物件のキャッシュフローがどれだけ確保できるのかをチェックするためです。

事業計画書の作成も必要ですが、これは丁寧に指導を受けることができるので、時間はかかりますが誰でも作ることができるでしょう。

問題なのは購入、あるいは建設するアパートの資産価値がどれほどあるかということです。購入価格に対する評価額が厳しいので、日本政策金融公庫のアパートローンでフルローンを組むのは難しいでしょう。

日本政策金融公庫における不動産の評価方法

アパートの評価額算出方法

日本政策金融公庫が行うアパートの評価額算出方法は、通常の銀行などと基本的には同じです。物件の積算評価と収益還元評価を行い、その2つを組み合わせて評価額を出します。

積算評価の方法

積算評価とはアパートを土地と建物に分けて、それぞれの価値を算出するものです。まず建物の評価は、

再調達価格×延床面積(平米)×(残存年数/法定耐用年数)

によって計算します。再調達価格とは建物を建てた時の平米単価を割り出すもので、木造は15万円前後、RC造は19万円前後と金融機関によって設定額が違います。日本政策金融公庫は少し厳しく設定しているようです。

土地の場合は、

路線価×土地の広さ(平米)

で計算します。ここで評価額が変わるのは、その土地の地域に応じて掛け目が変わるからです。たとえば住宅を建てられない商業地域であれば価値を高く評価するのですが、住宅地域はマイナス評価しています。高層住居専用地域なら-10%、低層住居専用地域は-20%というように定めています。

また土地の形状によっても掛け目が変わり、変形地となると掛け目が大きく、その分評価額は少なくなります。その結果、4,000万円の購入金額に対して担保評価額は3,000万円であったり2,500万円であったりするのです。もちろん足りない分は頭金として、現金で支払います。

収益還元評価の方法

収益還元評価は、家賃収入の利回りから逆算する評価算出方法です。たとえば還元利回りが5%であると設定して、年間の家賃収入が120万円、それに対して年間の管理などの経費が20万円であるならば、

(1,2000,000-200,000)÷0.05=20,000,000(円)

という形で物件の価格を算出します。ここで注意したいのは、家賃収入は満室時の想定金額ではなく、実際の入居率に応じて算出した金額になるということです。年間の入居率が平均80%であるならば、120万円の家賃収入は8割として計算します。

まとめ

年収が低い方は銀行からアパートローンを借りるのは難しいかもしれません。かといって金利の高いノンバンクから借り入れはしたくないという方には、日本政策金融公庫がおすすめです。こちらのアパートローンは、アパートの収益性を重視して融資を行っているので、年収が低くても借り入れができます。

ただし物件の担保価値を厳しく評価するので、ある程度の頭金が必要になります。その代わりに手堅い収支計画を立てることができるので、アパート経営での収益を得やすいのはメリットといえるでしょう。