節税にもなる?不動産投資の税金の仕組み
不動産投資を行うときに、動機として節税になるから、という理由で不動産投資を始めたいと考える人もいます。
また投資用不動産物件の販売を行っている不動産会社の営業マンも、「不動産投資は節税になります」と言ってくる人もいます。
ではなぜ不動産投資をすることで税金を節約することができるのか、その仕組みについてお伝えします。
1物件を購入した初年度や次年度は赤字になりやすい
まず不動産物件を購入した初年度は、基本的にほぼ全ての物件で収支は赤字になると考えておきましょう。
なぜそうなってしまうのかと言うと、まず賃貸物件を新築した場合は最初から全ての部屋が満室になるということはまずないので、どうしても単純に収入が少ないからです。
オーナーチェンジ物件を購入すれば初年度から黒字になるのではないかと思う人もいるかもしれませんが、そういったケースでも黒字になることは非常に少ないです。
まず不動産の取得には、多くの税金がかかります。そのひとつは登録免許税であり、これは中古物件の名義変更をするのに必要な税金となっています。
また新規物件の場合でも、新しく建物の登記を自分の名前でするためにこの税金が課税されます。
物件の種類や面積にもよりますが、ここだけで少なくとも数十万円かかります。司法書士に登記作業をお願いする場合は、さらに10万円ほどかかることもあります。
そして不動産を購入した時に課税されるのが不動産取得税です。
これも不動産を所有した時点で必ず課税される税金になるので、確実に出る支出です。
新築物件の場合、不動産取得税はかなり安いことが多いのですが、中古物件を購入した場合は10万円単位で課税されることを覚えておきましょう。
金利支払いも不動産物件運営に伴う支出になります。例えば3000万円の融資を金利3%で受けたとします。その年度の金利の支払いは年間で90万円にもなります。
この金利支払いと、各種の税金を合わせれば家賃収入を上回ってしまうこともあります。不動産取得税は物件取得翌年に課税されることも多いです。
金利はローン残高に応じて金額も多くなってくるので、物件を購入の当初はかなり支払いが多くなります。その他に修繕や新規設備の購入を行うことも多いので、購入して2年間は満室になったとしても赤字になりやすいのです。
2.サラリーマンなど本業の収入と不動産投資の収支は合算できる
サラリーマンとして収入がある場合、その税率は累進課税制度ですので、所得の金額によって所得税率は変わってきます。
例えば年収900万円を超えると、一気に所得税率は33%まで上がってしまいます。
そのため 年収920万円よりも年収880万円の人の方が手取りの年収を多くなるということもあるのです。
そこで、年収920万円の人が不動産物件を購入し50万円の赤字になったとします。その場合不動産の収入はサラリーマンの本業の収入と合算することができるので、年収は合算後に920-50で870万円となります。
そうすると所得税率が33→23%に下がるので、不動産投資を行いながら手取収入を増やすこともできるのです。
さらに、減価償却費という、支出はないのに、帳簿上は支出になる経費を計上できる物件であれば、節税して手取リ収入を増やす効果はさらに大きなものになります。
3.相続税対策のために不動産を購入する人も
またもう一つ節税に役立つ不動産投資の役割として、相続税対策もあります。相続税は一定の金額を超えると、かなり大きな金額が課税されるので、1億円を超える資産を持つような人は親族のために相続税対策に取り組む人もいます。
相続税の対象となる物は現金そして不動産などの資産になりますが、現金の場合はその貯蓄残高がそのまま所得税課税の対象になります。
しかし不動産の場合は現金ではないので不動産を金銭価値に換算してから課税が行われることになります。
金銭価値に換算する時に、不動産は建物と土地それぞれの価値を算出します。
マンションを購入しておけば、マンションの土地部分の評価額は、敷地を全体の戸数で割った面積から算出されます。そのため土地の相続税評価額は非常に小さく算出されるのです。
購入に1億円かかったようなマンションでも、所得税相続税の評価は5000~6000万円になることも多いのです。
4.不動産は本来節税ではなく利益目的で購入することを忘れずに
不動産投資は節税に大いに役立ってくれることが分かってきました。
しかし、不動産を購入する目的は本来収益を増やすことのはずです。
節税のためだけに、毎年新しい物件を購入していて結局利益が出なかったのでは、骨折り損のくたびれもうけになってしまいかねませんし、キャッシュフローがどんどん減ってしまいます。
節税効果はあくまでおまけと考えて、しっかりと収益の出る物件を探して行くようにしましょう。