シリーズ「失敗事例から学ぶ不動産投資」をお届けします。このシリーズでは、さまざまな失敗事例を取り上げて、失敗の理由や対策方法などを解説していきます。この記事を読むことで、少しでも失敗のリスクを回避していただければ幸いです。失敗は誰にもあること、そこから教訓を学びとって、未来に活かしていきましょう。
戸建物件の購入に失敗した事例:Iさんの場合
ターゲットを見誤り狭い間取りの戸建を購入
Iさんは、都心へのアクセスに恵まれた埼玉県にある地方都市で、手ごろな戸建の物件を見つけて投資することにしました。都心へのアクセスは良いのですが、駅から徒歩10分以上離れた静かな田園の中にその戸建物件はあります。
間取りは1LDK、ファミリーが住むには少し狭い平屋住宅です。Iさんは小さくまとまったスタイリッシュな外観が気に入って購入し、DIYが趣味だったこともあり、約2カ月かけて自分のできる範囲内で週末リフォームを行いました。
リフォームが完了し、いよいよ入居者の募集です。Iさんは、静かな環境なので都心に通うファミリー層が入居してくれれば、安定した家賃収入が得られると期待していました。ところが、入居募集をかけて2カ月しても3カ月しても入居希望者が現れません。
実は、この戸建の間取りには大きな問題がありました。都心から離れた静かな環境の戸建てはファミリー層の需要が高いということでした。しかし、この戸建物件の間取りは1LDKです。ファミリー層どころか、ディンクス層でも窮屈な間取りです。
かといって、学生や独身には広すぎる中途半端な間取り。Iさんはサラリーマンなので、せっせと会社勤めをしながら、今もローンだけを払い続けています。
Iさんはなぜ失敗したのか?
Iさんはなぜ戸建物件の投資に失敗してしまったのでしょうか。
明確なターゲットを絞り込んでいなかった
都心から離れた物件、特に戸建の場合は、ファミリー層を意識して物件選びやリノベーションを行う必要があります。ファミリー層は、環境の良い静かな戸建て住宅に住みたいというケースが多いようです。逆に若いシングル層やディンクス層は、都心部のワンルームマンションや分譲マンションを選びます。
この戸建物件の場合は、スタイリッシュな外観で日当たりも良く、とても静かな環境に恵まれています。間取り以外はファミリー層によろこばれる条件を備えています。
どんな対策が考えられる?
増築する
戸建住宅の建ぺい率は50%です。埼玉県の駅から離れた立地ならではのゆったりとした建ぺい率といえるでしょう。敷地面積の残り30%を利用して1LDKから3LDKへ増築するという対策があります。
もちろん、Iさんが日曜大工で増築できるレベルのリノベーションではありません。業者に入ってもらって、見積もりを立ててもらい、プロの手によってリノベーションを行う必要があります。毎月無駄なローンを払い続けて、赤字がどんどん膨らむ今の状況からいち早く脱出すべきでしょう。
テラスハウスにする
近所に大学のキャンパスがあるので、若者向けのテラスハウスにリノベーションして貸し出すという対策も考えられます。真ん中にリビングやキッチン、バスコーナーなどを集めて、周囲に個室を3つないし4つ程度配置する間取りはどうでしょうか。こうすれば、プライベート空間とパブリック空間の住み分けが上手にできるはずです。
アトリエにする
3駅ほど先に美術系の大学があるので、アトリエにして貸し出すという対策もあります。現在ある個室とリビングを一つのスペースにして、天井を取っ払って高くする。開放感のあるアトリエとして活用できるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、戸建物件を購入したIさんの失敗事例をご紹介しました。戸建の場合は、間取りが大きなポイントになります。都心から離れた立地はファミリー層に人気があるので、家族がゆったり暮らせるような間取りを備えていることがポイントです。今回のような失敗をしないために、購入前の段階でしっかりとターゲット層を絞っておくように注意しましょう。