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不動産投資を行う中では、自分が所有する不動産を売らなければはいけない時もあるでしょう。運営がうまくいないために売却をしなければいけない時もあれば、新しい事業資金捻出のために物件を売却することもあります。

購入には物件代以外に、約1割の諸費用が掛かると言われますが、売却にも様々な費用が掛かります。では自分の物件を売るために具体的などんな費用がかかるのかを説明していきましょう。

1.不動産仲介業者への手数料

まず最も大きな出費が不動産仲介業者に支払う手数料です。不動産を購入する時もそうですが、売却を不動産会社にしてもらうときも、仲介手数料を支払わなくてはいけません。
最近では会社によって相場が多少差が出てきていますが、基本的には上限として決められている、
物件価格の3%+6万円+消費税
という会社が一番多いです。

具体的な金額にすると、3,000万円の不動産を売却した場合には、96万円+消費税を支払わなくてはいけません。
薄利多売を狙って不動産仲介業者が売主側の手数料を下げるケースも目立ってきていますが、薄利多売になるため、どうしてもサービスや売却活動の質が低下することがあります。

また仲介手数料の金額は一般媒介、専任媒介など不動産屋との契約の種類によって変わってくることはありません。
仲介手数料は、専属専任媒介契約を結ばない限り、自分で売り先を見つけてくることができれば発生しません。
しかし、たとえ買ってくれる人を自分で見つけたとしても、重要事項説明などは業者に依頼をすることになるので、その依頼費が発生することになるでしょう。

2. 収入印紙代

不動産売買の契約には重要事項説明書を作成し、宅建資格所有者の立ち会いと説明のもと買主と売主で物件についての詳細を確認する義務があります。
その重要事項説明書に貼付収入印代も必要です。収入印紙は売買する物件の金額によっていくらの収入印紙が必要なのかが決められています。
収入印紙の金額は以下の表を参照ください。

1万円未満非課税
1万円超50万円以下200円
50万円超100万円以下500円
100万円超500万円以下1,000円
500万円超1000万円以下5,000円
1000万円超5000万円以下1万円
5000万円超1億円以下3万円
1億円超5億円以下6万円
5億円超10億円以下16万円
10億円超50億円以下32万円
50億円超48万円

一般的な不動産売買の重要事項説明書には1万円や3万円の収入印紙が必要になるでしょう。これは必ず発生する費用なので節約ができません。

3.抵当権抹消費代と司法書士作業費

住宅ローンやアパートローンは自分の所有する物件を担保にお金を借ります。そのため抵当権を最初に設定してありますが、売却する時には当然その抵当権を外す必要があります。一物件あたり1000円とそれほど大きな金額でありません。

抵当権を外すための手続きとして司法書士に依頼をするケースが多いです。
時間と知識があれば自分で書類を作成し法務局に行って抵当権抹消の手続きを行いますが、多くの人は手間を省くために、司法書士に抵当権抹消作業を依頼します。相場としては1~3万円といったところです。

抵当権が残っている=物件を売却しても残債を完済できない場合にはそもそも物件の売却ができません。

4.譲渡所得税

不動産を売却して発生したからには譲渡所得税住民税が課税されます。
ただしこれは売却時に得られた金額全てに対する税金ではなく、あくまで購入時と比較して利益が出た場合の税金です。10年前に諸費用を含めて4,000万円で買った物件が、3,000万円で売れた場合は購入時の金額を下回っているために3,000万円の収入があっても、税金は1円も発生しません。

一方で10年前に諸費用込み4,000万円で買った物件が、5,000万円で売却できた場合には、1000万円の利益が発生したとみなされて、そこに譲渡所得税が課税されます。

特に短期的に不動産売買を行った場合には税率が高くなります。
譲渡所得税は以下のような税率になっています。

短期(所有期間5年以下)長期(所有期間5年以上)
居住用39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)
非居住用39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%)

長期所有物件には

  • 課税譲渡所得6,000万円以下では14.21%(所得税10.21%・住民税4%)
  • 課税譲渡所得6,000万円を超えた場合20.315%(所得税15.315%・住民税5%)

になるという特例もあります。

まとめ

不動産の購入時と比較すれば、不動産売却の費用はそれほど発生しません。大きな出費は不動産会社に支払う仲介手数料程度でしょう。

ただし物件が値上がりをしていた場合は、譲渡所得税が発生します。 この税金が購入時には発生しない税金なので、売却前の想定に入れていなかった、ということもあるでしょう。
物件価格が購入時より値上がりをしているのはうれしいですが、決して譲渡所得税は安くはない税金なので、存在には注意しなければいけません。

その他に必ずしも発生する費用ではありませんが、室内のクリーニング費やリフォーム費。さらに仲介手数料以外の広告費を支払うこともあります。こういった物件をスムーズに売るための費用においても把握をしておきましょう。