新設法人を作ってアパート経営をすれば、税金面でかなり有利になります。しかし事業実績がない新設法人は、アパートローンの審査が通りにくいという課題もあります。それでも工夫をすれば、融資を受けることは不可能ではありません。
アパート経営を法人化するメリット
個人でアパートを買い増しすると税金負担が大きくなる
個人でアパート経営をする場合、その収益性を担保に物件数を増やすことができます。
個人に課せられる所得税は累進課税なので、課税所得が1,800万円を超えると40%の所得税と10%の住民税で合計半分を税金として支払います。
一方で法人税率は800万円以下の部分は19%(2019年3月31日まで開始した事業年度については15%)で、800万円を超える部分は23.2%となっています。そのほかに法人地方税や法人事業税などありますが、最終的にかかる実効税率は29.74%です。資本金1億円以下の中小法人であれば、年間800万円までが26~28%で800万円を超える部分が33%ほどとなります、
つまり2,000万円近い課税所得となれば、個人として運用するより法人としてアパート経営したほうが、税金面ではかなり有利であることがわかります。
ただし売却時の譲渡所得に関しては、5年を超えて保有する個人のほうが税率は20.315%となるので有利です。法人税率は賃料収入も売却収入も、税率は変わりません。
途中での法人化が不利となる理由
アパートを個人で購入してから法人化するのと、最初から法人で購入するのとでは違いがあります。途中で法人化した場合、一度個人から法人に譲渡する必要があるからです。
売買代金は自分で設定できますが、仮にローンの残債と同じ売買代金に設定しても多くの不動産取得税が発生します。
それならば最初から法人を作っておいて、アパートを購入したほうが得であることがわかります。しかし新規法人の場合、アパートローンの審査が通りにくいという課題があります。
新設法人がアパート取得時に融資を受けるのが難しい理由
個人でアパートを購入する場合、個人属性を審査対象として融資できるか否かを決めます。ところが新設法人の場合には、まだ実績がありません。収入がないので融資対象は購入するアパートの収益性のみとなり、個人で購入するよりも不利となります。
大抵の金融機関はアパートローンの審査において、物件の収益性とともに個人の属性を評価します。その個人属性の代わりとなる法人の事業実績がないとなれば、審査は厳しくなるということです。
新設法人で融資してもらうためのポイント
個人が法人の連帯保証人になる
個人でアパートローンを借りる場合、連帯保証人が必要なケースがあります。
通常は配偶者に連帯保証人になってもらうので、その同意が必要です。
しかし法人の場合には、その代表者が連帯保証人になることでアパートローンを借りることが可能です。この場合、融資限度額は情人ではなく連帯保証人である個人の与信を審査対象とします。そのために事業実績がない新規法人であっても、アパートローンの審査が通りやすくなります。
しかも法人の連帯保証人になっても、個人信用情報には影響がありません。法人の借入に対して、連帯保証人である個人の信用情報にはその登録がされないのが理由です。
日本政策金融公庫を利用する
実績のない新設法人でアパートローンを借りるなら、物件の収益性を重視する日本政策金融公庫がおすすめです。個人属性よりも物件の収益を厳しく審査するので、自己資金はある程度必要になります。しかし資産価値が高い物件なら融資してくれますし、特に女性や29歳以下あるいは55歳以上の男性は融資限度額も上がるのでおすすめです。
2棟目以降は地方銀行や信用金庫を利用する
日本政策金融公庫は借入期間が最長15年となっています。そこで短期返済で収益を出しながら担保価値を高めることで、2件目以降のアパート購入も可能となります。法人としての実績も積むことができますし担保価値も高いとなれば、次は地方銀行や信用金庫から融資を受けることが可能です。
新設法人へ融資する銀行を探す
銀行はすべて新設法人への融資を厳しくしているかというと、そうではありません。たとえば都市銀行のひとつであるりそな銀行は、個人と資産管理法人を一体として審査しています。
もちろん個人属性が高いことが条件となり、りそな銀行は年収が800万円から1,000万円以上であることが条件です。現預金保有量や勤務先会社の信用度も審査対象となりますが、アパートローンを申し込む価値はあるでしょう。
まとめ
新設法人でアパートを購入すれば税金面で有利になります。ただし新設法人は事業実績がないために、アパートローンが借りにくいという課題もあります。しかし工夫をすれば融資をひくこともできるので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
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