一棟マンションを購入することで、相続税対策を有利にすることができます。その理由は評価額を大幅に引き下げることで、税額を少なくできることが挙げられます。さらに一棟マンションであれば複数の物件を保有するよりも売却が楽なので、相続税の支払いにも困ることはないでしょう。
不動産投資が相続税対策となる理由
相続税は2015年の税制改正で増税に
2015年の税制改正によって、基礎控除が4割減少したことにより相続税負担が増加しました。そのために相続税対策として不動産投資を検討している人は多いでしょう。
これから相続税対策に不動産投資を考える方のために、その仕組みをご紹介します。
現金をそのまま相続すると、基礎控除を引いて相続人の人数で割った額が課税対象となります。税率は相続金額によって変わりますが、たとえば3,000万円を超えて5,000万円以下の場合には20%を掛けて200万円を引いた額となります。
しかし、その現金で不動産を購入すれば、不動産という形に変えることで課税される評価額が変わります。不動産は土地と建物に分けて評価しますが、いずれも時価よりかなり低い金額に評価されます。
不動産投資が相続税を安くする理由
たとえば建物の評価額は、固定資産税評価額をそのまま適用します。固定資産税評価額は地方税法の規定によって市町村が決定します。一般的に建築費用の50~60%程度の評価となり、その評価額に対応した税率を掛けます。
土地の評価額は市街地なら路線価方式で、市街地でなければ倍率方式で算出します。路線価で評価する場合には、地価公示価格の80%程度の価格となります。さらに賃貸経営していれば貸家建付地評価となり20%ほど評価額が減り、小規模宅地であればそこから50%まで減らせます。小規模宅地とは200㎡までの貸付事業用宅地のことです。この規模の一棟マンションであれば、軽減措置を受けることで評価額を半分にできます。
倍率方式は、固定資産税評価額に対して土地の科目ごとに定まっている倍率を掛けることで算出します。路線価が出ていない土地に対しては、この方法で評価額を割り出します。
マンション一棟買いが相続税対策に向いている理由
評価額を大幅に下げることができる
マンション一棟を購入することで、たとえばワンルームマンションを複数購入するよりも相続税対策としての効果が高まります。
これは敷地面積200㎡以下であれば、小規模宅地による軽減措置を適用することで、土地の評価額をさらに50%引き下げることができるからです。すでに路線価に対して80%、さらに賃貸貸付をしていることで80%と、合計64%まで評価額を下げているので、その半分の32%まで路線価から評価額を下げることができます。
敷地面積200㎡となれば一棟マンションとしては小規模なものとなります。そこで都心の物件を購入することになると思いますが、都心のマンションは建物に対して土地の割合が大きいので相続税対策としては申し分ありません。さらに賃貸需要も多いので、マンション経営の収益性も十分に確保できるでしょう。
10室以上で事業規模となる
購入した一棟マンションが10室以上あれば、事業的規模として認められます。すると確定申告は白色申告から青色申告となり、特別控除65万円を適用できます。また事業的規模と認められると、配偶者などの家族に給与を支払うことで、これを経費にできます。給与に上限はありませんが、勤務実態や仕事内容に応じて妥当性のある金額にすることとしています。
さらに事業的規模となれば、不払いにより回収できなくなった賃料を損失として経費計上できます。しかも当該年度の所得から引けない分は、最大3年間の繰り越しが可能です。
これらは相続税対策とは直接関係ありませんが、不動産投資本来の収益性を高めることに役立ちます。もちろんメリットばかりではなく、個人事業税を支払ったり複式簿記で記帳する手間がかかります。損益対照表と損益計算書の作成が必要ですが、収益性を高めることで相続税の支払いにも回すことができます。
売却が楽になる
不動産を相続したら、一般的に相続税を支払うために売却することになるでしょう。もしこれが複数の物件であれば、すべてを一度に売却するのは困難です。相続税の申告と納税は、被相続人が亡くなった翌日から10か月以内と決まっています。
一棟マンションであれば、それをひとつ売却すれば終わりです。しかも建物全体をメンテナンスして賃借人がつきやすい状態で運用することで、資産価値も高めることができます。
まとめ
不動産投資が相続税対策になることを知っている人は多いと思いますが、一棟マンションを購入するメリットが多いことも知っていただければと思います。区分所有のワンルームマンションを買い増すのもよいのですが、最初から一棟マンションを購入して相続税対策をすることも検討してみてはいかがでしょうか。