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今売るべき?東京オリンピックが終わると本当に不動産価格は下落するのか

2020年のオリンピック・パラリンピックを控えて、都心部の不動産物件はバブル期並みの活況を帯びています。この状況はオリンピック終了後に一転して下落に転じるというのが、大方の見方です。はたして本当にそうなのでしょうか。

東京オリンピックを控えて都心部の不動産物件が値上がりしている理由

先日、日銀が半年に一度発表している「金融システムリポート」で「不動産業向け貸し出しが1980年代後半のバブル期並み」になっているといコメントを出しニュースになりました。たしかに東京オリンピック・パラリンピックを控えて不動産投資の分野が活況を帯びているようです。

この状況を直接けん引しているのは、東京オリンピック・パラリンピックのためのインフラ整備です。会場建設に従事する労働者の人件費はもとより、建材費なども上昇し続けています。競技場や選手村などのインフラ整備にともない、需要が見込まれる周辺地域のマンション価格も上昇しています。

また、東京はニューヨークや香港、パリやロンドン、シンガポールといった世界的な大都市の中で比較的物件価格が安く推移しており、オリンピックの開催に向けて値上がりすることは誰にでも予想できることです。

そのため、海外の「キャピタルゲイン(売却益)」をねらった投資家がさかんに投資を行ったことも、都心部の不動産価格をつりあげた原因になっています。この投資熱は2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは続くでしょう。

オリンピック・パラリンピック終了後はどうなる?

問題は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック終了後の、不動産価格の動向です。不動産業界では「2020年問題」と呼んでいます。さまざまな予想が飛び交っていますが、確実に言えることは「キャピタルゲイン(売却益)」目的で投資している海外の投資家は一斉に売りに出るということです。

そのため、いったんは不動産物件の価格は下がるかもしれません。また、値下がりする理由は日本の構造的な社会問題にも起因しています。それは少子高齢化の問題です。都心部の臨海エリアにはワンルームマンションが飽和状態に近いほど存在しています。需要の絶対数が減少すれば、当然物件の価格も下落するはずです。

ただし、この予想はマクロ的な視点に立った一般論にすぎません。ほかの都市と同じような一般論では論じることができない特殊な事情が都心部にはあります。

長期的な視野で堅実な不動産投資を

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、都心部のインフラ整備が加速しています。オリンピック以降はますます住みやすいインフラ環境が整備されることでしょう。「キャピタルゲイン(売却益)」目的の海外投資家が手放すことで、一時的に不動産価格が下落すると予想されます。

しかし、住みやすいインフラ整備の実現によって都心部の競争力は加速すると考えられています。つまり、これまでの都心への一極集中の流れが加速し、人口がどんどん東京に流入するようになるでしょう。

また、政府による「外国人労働者の受け入れ拡大策」によって、海外からの移住者も増加するはずです。そのため、臨海エリアのマンション需要はますます高まると予想されています。

「キャピタルゲイン(売却益)」目的で不動産投資を行う場合は、オリンピック・パラリンピック開催前が売り時かもしれません。しかし、長期的に安定した物件運営を考えている人にとっては、むしろオリンピック・パラリンピック終了後の方がチャンスと言えるでしょう。

都心部においては、安定的に不動産価格が上昇していくという強いポテンシャルを秘めています。オリンピック・パラリンピック以降は、長期的な視野に立ってより堅実な不動産投資を行うべきでしょう。

まとめ

都心部では2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けてインフラ整備が加速しています。そのことは、日本の都市間における競争力の強化にもつながるでしょう。オリンピック終了後、一時的に下落する傾向が見られたとしても、都心が持っているポテンシャルはそれほど変化しないというのが結論です。