アパート経営を始めるためには、アパートローンの利用が必要です。融資を行う金融機関はいろいろありますが、金利や貸出条件がそれぞれ違います。自分の年収などに応じて、どこを選べばよいのか決めることが大事です。
都市銀行
都市銀行とは
いわゆる預金残高の大きな銀行ですが、一般的に三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井純友銀行とりそな銀行を指します。地方銀行や信用金庫のように地域に根付いた銀行とは異なり、支店が多く融資可能エリアが広いことも特徴です。
アパートローンの審査は厳しい
都市銀行でのアパートローンの融資審査は極めて厳しく、申し込んでから仮審査が完了するまで1ヶ月は要します。ただし融資基準が厳しい代わりに、金利水準が低いことが利点です。
2018年7月現在の都市銀行によるアパートローンの金利は、固定10年で3%ちょっとですが、変動金利なら1~2%前半となっています。
年収の高い人におすすめ
借入期間は躯体の構造によって異なり、木造なら22年、RC構造なら35年が最長融資期間となります。中古のアパートは残存耐用年数によって決まります。
団体信用生命保険の加入は任意であったり、基本的には不要であったりと銀行によって違います。審査を通るために必要な年収は目安として1000万円以上です。
都市銀行は融資を受けることが難しい反面、金利が低いので返済負担が少なくなります。そのために返済期間を短くすることで、売却時のローン残債を大幅に減少させて売却益を出しやすくすることが可能です。収益性を高めたアパート経営ができるといえます。
地方銀行
地方銀行とは
地方銀行とは全国地方銀行協会に加入する第一地方銀行と、第二地方銀行協会に加入する第二地方銀行を指します。地方銀行の目的は企業への資金調達を通じての地域の経済発展です。
金利は都市銀行に次いで低い
金利や融資条件などは銀行によって異なりますが、預かり額最大の横浜銀行の場合、標準変動金利2%台から優遇金利分が差し引かれて1%台前半となります。利用者の属性(収入や勤続年数など)により金利は変わります。
団体信用生命保険を使うと金利が少し高くなりますが、保証人が不要になります。個人で融資を受ける場合には原則的に連帯保証人は必要です。
年収の条件も少し緩くなる
融資審査が通る年収は神奈川県内の支店であれば700万円程度となります。若いうちからアパート経営をしたいという方には、地方銀行がおすすめです。
信用金庫
信用金庫とは
信用金庫は信用金庫法に基づき、会員の出資によって運営する非営利の金融機関です。
信用金庫と取引をするためには、営業する地域内で住所を有し地域内で勤務していることが必要となります。そして出資をすることで、信用金庫の会員になりアパートローンの融資を受けることができます。
金利は信用金庫によってさまざま
金利は信用金庫によって1%台から3%台とさまざまです。たとえば神奈川や大田区・町田市を担当する多横浜用金庫は変動金利1.950%のみの融資ですが、年収300万円以上で勤続年数3年以上であれば申し込むことができます。
融資期間は短いがローンは通りやすい
信用金庫は金利が少し高くなりますが、融資を受けやすくなる利点があります。ただし融資期間は物件の築年数により短くなることもあり、返済負担が増す可能性も出てきます。ローンを組めることはできても、その後の運用計画をしっかりと立てることが大事です。
ノンバンク
ノンバンクとは
ノンバンクとは預金業務をせずに融資のみを行う金融機関のことです。信販会社やクレジットカード会社などをまとめてノンバンクと呼びます。
都市銀行や地方銀行など金利が低い金融機関は融資の審査が厳しくなります。信用金庫は比較的審査が緩くなりますが、それでもアパートローンを借りることができない人もいるでしょう。そのような人でも審査が通りやすいのがノンバンクです。
金利は高めだが融資期間は長い
ノンバンクは貸し出すお金を系列の銀行などから借りているので、
金利は3~4%と高めに設定しています。
また金融機関のほとんどが、融資期間を物件の法定耐用年数以内に設定します。法定耐用年数とは物件の躯体構造ごとに定められた減価償却できる期間のことで、築年数の経過により減少します。
つまり耐用年数がゼロになれば建物の価値もゼロとなり、融資価値がなくなると判断します。しかしノンバンクの場合には、法定耐用年数に関係なく融資をしています。
アパート経営の運用に注意を
注意が必要なのは売却する時です。残債の減少率が低いので、売却価格よりもローン残債が大きくなる可能性が高くなります。つまり売却金額でローン残債を返済できないとなれば、抵当権を抹消できないので所有権を移転できません。この場合、自分で足りない分を現金で用意して返済しなければなりません。
まとめ
審査は厳しいものの、低金利で有利にアパートローンが組める都市銀行は、ある程度の年収がある人におすすめです。逆に年収も勤続年数も少ないけれど、収益性の高いアパートを購入できる人はノンバンクで融資を受けるのもよいかもしれません。
どれを利用するにしても、アパート経営の運用計画と収益を生み出すための戦略を立てることが大事です。