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海外から人気!?海外投資家が東京の不動産を買う理由

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2018年4月5日の日本経済新聞で、東京が世界的に魅力ある不動産投資先の7都市にランクインしたことが報じられました。
少子高齢化により東京の不動産相場に対して悲観的な意見もある中で、なぜ海外投資家が東京の不動産を魅力あるものと判断しているのでしょうか。

東京の競争力の高さが世界に認められている

東京が「ビッグ7」入りに

日本経済新聞で取り上げたのは、米不動産情報大手のJLL(ジョーンズラングラサール)が発表したレポートです。これによれば、世界83都市を300以上の項目で分析し、ランク付けしたところ、東京が「競争力のある世界都市ランキング」で5位になったとのことです。

JLLはそのランキングの上位7か国を「ビッグ7」とよび、不動産投資先としてもっとも魅力ある国としています。

ビッグ7を構成する国とは

ビッグ7を構成する国は以下のようになります。

1位 ロンドン
2位 ニューヨーク
3位 パリ
4位 シンガポール
5位 東京
6位 香港
7位 ソウル

この7か国には、世界の商業用不動産に投じられた資金総額の4分の1が集まっています。そしてこの7か国は、都市の現状と発展レベルの高さ、新たなトレンドを生み出す力という点で評価されています。これらを背景に、不動産投資先としての魅力を持っているということになります。

東京が魅力ある都市に選ばれた理由

理由は不動産相場の上昇だけではない

確かに東京の不動産相場は上昇を続けていますし、多くの投資マネーが流入しています。しかし、ビッグ7の順位を見ると、不動産相場の上昇だけが評価基準にはなっていないことがわかります。
たとえば過去10年の不動産価格の上昇率をみると、日本が30.28%であることに対して6位の香港は191.46%と脅威の数字になっています(global property guideより)。

この1年をみても、日本の5.74%に対して香港は14.69%です。そして東京の不動産上昇率は1年で6.38%(LIFULL HOME’Sより)なので、投資対象としては圧倒的に下位の香港が上であることがわかります。

ポイントは賃貸利回りと政策金利にあり

ではなぜ今回、東京が不動産投資対象として魅力ある都市に選ばれたのでしょうか。まず実際の東京への投資マネーの動向をチェックしてみます。

東京の不動産には2017年の1年間で、152億ドルの投資資金が流入しています。その中で海外投資家による金額は1兆580億円となり、前年に比べると2倍ほど増加しています。実はその背景にあるのは、日本の低金利政策であると推測されています。

海外の投資家は常に為替や金利の動向をチェックして、投資資金をどの国に投じるかをコントロールしています。通貨に関しては金利の低い日本円は売られ、代わりにアメリカのような高金利の国の通貨を買っています。

しかし不動産に関しては金利の低い国が投資対象になります。ここでもうひとつ注目されるのが、賃貸利回りです。不動産投資先の国でお金を借りて不動産を購入し、賃貸収入の利回りが借入金利を上回れば利益を得るというわけです。この金利と賃貸利回りの差が大きな国ほど、投資価値が高いと判断されるのです。

東京の不動産、特に利回りが高いオフィスビルは借入金利との差(これをイールドキャップという)が大きいために、世界の投資マネーが流入していると考えられます。これが、海外投資家が東京の不動産を買う大きな理由とみてよいでしょう。

東京の不動産にみる今後の展望

東京の優位性が薄くなる可能性も

確かに日本は少子高齢化が進み、不動産市場も縮小することが予測できます。しかし海外投資家はあくまでもオフィスビルの利回りに投資価値を見出しています。東京には多くの企業が集まり、今後もこの流れは変わることがないでしょう。またオフィス需要も増え続けているため、新規のオフィス建設も進んでいます。

ただし日本の低金利政策も長く続き、政府はデフレ脱却を目指しています。物価上昇率が目標の2%となった時には、金融緩和を解除して利上げをすることになるでしょう。一方で景気拡大が続き、金利の引き上げが続いているアメリカは、これから景気動向によっては金利引き下げに向かう可能性もあります。

そうなればイールドキャップにおける東京の優位性がなくなることで、不動産市場から投資マネーが引き上げられることも考えられます。

東京が再評価されるポイントはインフラにあり

ただし賃貸需要と利回りに関しては、JLLのレポートから将来性を伺うことができます。今回の都市分析において、東京のインフラの項目は13位でした。
これが2020年の東京における夏季オリンピックに向けてインフラ整備が進むことで、上位になる可能性があると期待されています。

これは現在の東京にまだ伸びしろがあることを意味しています。世界に対する競争力が高まれば、多くの企業が集まります。その結果、オフィス需要もさらに増えることで賃貸利回りも高まることが期待できます。

まとめ

東京の世界中の都市に対する競争力の高さが客観的に評価されていることが、ビッグ7入りで明らかになりました。
不動産市場に流入する海外投資マネーの増加が、それを裏付けています。

今後は金利における優位性が薄まる可能性はありますが、インフラ整備による利便性の向上により、まだまだ投資先としての魅力が高まる可能性はあります。